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政治記者Xの備忘録

官邸、自民党、財務省などの記者クラブを経験。マスコミで書けないネタを書いていきます。

長谷川豊氏擁立は維新の決定的ミスとなる

政治記者Xです。

 

日本維新の党は、どうしようもないほどに候補者選出のセンスがない。それがはっきりしたのが、今回の長谷川豊氏の擁立だったと思っています。「浪速のエリカ様」上西小百合議員、元テレビリポーターで政治活動費の不正流用が言われた「美人すぎる市議小林由佳堺市議など。どうにも、お粗末すぎる。

 

確かに強固な組織基盤を持たない新興政党の候補者選出は難しい。とはいえ、維新の候補者選びは、節操なさすぎに見えます。「候補者擁立が難しいなかでの苦渋の選択」という雰囲気すら感じられない。

 

「議員は議場での投票数合わせの存在だから、目立つ客寄せパンダで良い」とでも思っているのではないかと思えるほどです。長谷川豊氏、上西小百合氏、小林由佳氏に加え、アントニオ猪木氏、東国原英夫氏まで思い起こせば、「維新の候補者選びに見える軽さ」に拍車がかかるのではないでしょうか。

 

長谷川豊氏といえば、今更いうまでもなく、人工透析患者に対する「死ね!」発言、さらに遡ればフジテレビ退職の引き金となった「ニューヨーク支局時代の経費不正流用」問題が知られています。この経費不正流用では、降格処分を食らっている。降格にまで至るというのは、当然、「ちょっとした程度」の流用ではないのでしょう。

 

長谷川豊氏はフジテレビ当時の年収をテレビ番組で「1650万円」と自ら明かしています。30代半ばにして、1650万円。十分すぎるほどの年収にもかかわらず、会社のカネに手をつけた。「貧困に喘ぐ者が止むを得ず、手をつけた」という類の不正では全くないわけです。

 

さて、透析患者への発言と経費の不正流用を併せて見れば、「弱者に対する目線がなく、カネにキタナイ」と言われても仕方がない。これは、政治家に最も適しない人物ということではないだろうか…。

 

長谷川豊氏を擁立した維新の思惑ははっきりしています。維新がかなり弱い首都圏の票の掘り起こしでしょう。ただ、知名度の高い長谷川豊氏であっても、小選挙区での当選は極めて難しい。そして、そのことは当然、長谷川豊氏もわかっているはずです。

 

では、落選確実にもかかわらず、なぜ出馬したのか。しかも、長谷川豊氏は出馬会見で「アナウンサーには戻らない」と宣言し、退路を絶っています。

 

これは完全に推測ですが、比例や参院選での救済が「密約」としてある。そう、わたしは睨んでいます。なので、遠からず「長谷川豊議員」が生まれる公算は極めて高い。

 

では、維新にとって、今回の長谷川豊氏擁立はプラスとなるのか。わたしは完全にマイナズになると見ています。関東圏の票の掘り起こしにも繋がらず、しかも維新の地盤の関西圏の票を減らすとさえ見ています。

 

その理由は3つあります。ひとつは長谷川豊氏の知名度は維新が思っているほど高くないということです。長谷川豊氏がフリーになってから出演しているのは、主にMXテレビテレビ大阪です。また、話題を振りまいていたのもネット空間です。つまり、どちらも高齢者が主体の有権者の多くから見れば、「昔、フジテレビのワイドショーに出ていたひと」。ニュースを頻繁にチェックし、気にしている政治家の認識とは、知名度にズレがあるわけです。

 

もうひとつは、「MXやテレビ大阪で報道のレギュラー番組を持っているほどだから、一定の支持はある」と、維新が誤解しているのではないかということです。

 

長谷川豊氏を起用し続けたテレビ局は、申し訳ないが、自前では報道の男性アナウンサーを採用・育成するのが、ほとんど不可能な局です。自前での育成が無理なので、外部に求めるしかない。

 

ところが、女性と男性のフリーアナウンサー事情は完全に異なります。報道番組をこなせる男性アナウンサーというのは、全局通じても、決して多くはありません。NHKを退職した男性アナウンサーが重用されるのを見れば、明らかでしょう。なので、MXやテレビ大阪のような局にとって、長谷川豊氏というのは極めて数少ない選択肢だったわけです。もし長谷川豊氏が本当に評価、支持されていたのであれば、他のテレビ局でも起用されていたはず。キー局での起用がないというのが、何よりの証です。

 

そして最後の理由は、関西圏の票を減らす可能性が十分にあるということです。橋下徹氏の過激発言は、橋下氏の経歴や体を張った戦いぶりから、「凄み」や「真実味」を有権者に感じさせました。ところが、長谷川豊氏にそこまでのものはない。加えて、維新を支持してきた、病に苦しむ人、あるいは家族に抱えている人は、今回の擁立をどう思うか。決して、プラスには働かないでしょう。

 

さて、かなり長文になってきましたが、もうこれで終わります。この先、どうなるかということです。

 

わたしの読みでは、文春、新潮といった週刊誌で「長谷川豊特集」がいくつも組まれることになる。当然、褒める話ではありません。いろいろ掘り起こそうとするでしょう。立候補宣言した以上、相手は公人なので、手加減はありません。乙武洋匡氏や鳥越俊太郎氏の例を見るまでもないでしょう。

 

これまでのようなネット空間ではないところからのバッシングを受けて、長谷川豊氏や維新は耐えられるか。生暖かく、見守りたいと思います。