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政治記者Xの備忘録

官邸、自民党、財務省などの記者クラブを経験。マスコミで書けないネタを書いていきます。

元番記者の私が見た、森喜朗さんが権力を極めた理由

政治記者Xです。

真実は報道されないことのなかにある。

 

 

ということで、わたし、昔、森喜朗さんの番記者していました。五輪組織委のトップに立つ前の、現役の大物国会議員時代です。

 

当時、番記者だった私にとって、不思議なことがありました。なぜ、この人は自民党幹事長、そして総理にまでなれたのか。後藤田正晴氏のように、頭のキレがすごいわけでもない。小泉純一郎氏みたいに、国民的人気があったわけではない。小渕恵三氏のように、人望があったわけでもない。梶山静六氏のように、度胸があるわけでもない。なぜなのか・・・。

 

そういう視点で、番記者として見てみると、なんとなくわかってきたのです。

 

森喜朗氏が、権力を極められた理由。まず、ひとつ目は宴会やパーティーなどの座持ちがすごく巧み。宴会での話芸というか。

 

番記者数名、国会議員数名と一緒に、森喜朗さんと料亭に行ったことがあります。とにかく、話が巧みで、面白い。「知的な面白い話」ではなく、単なる笑い話、宴会話が巧みなのです。こういう部下がいたら、営業での接待とか、とてつもなく楽だろうなと思わせるような、巧みさです。

 

もうひとつは、根回しの凄まじさ。政治家だから根回ししているというより、「天性の根回し師」とでも言うべき凄まじさです。その凄さは、森喜朗さんの自伝に、最も分かりやすく出ています。これほどの迷著を、番記者外れた途端に、番記者を外れた嬉しさのあまり、ブックオフに出したことは、自分の過ちです(苦笑)。

 

あなたに教えられ走り続けます

あなたに教えられ走り続けます

 

 

こちら、政治記者の中でも知る人ぞ知る迷著、森喜朗さんの自伝「あなたに教えられ走り続けます」。タイトルも、森さんの強みをストレートに表すような、気配りに満ちたタイトルですね。

 

この本で、森喜朗さんの天性を表している、最も印象的なエピソードがあります。森喜朗さんが小学生時代の話です。

 

小学校の野球大会で、森少年たちのクラスが負けてしまった。森少年が考えた理由が、「他のクラスに凄い球を投げる生徒がいたから」。普通の小学生であれば、「クラスのみんなで練習して、来年は勝てるようになろう」でしょう。スポ根ドラマの世界です。

 

ところが、天才・森少年はそんなありきたりの発想はしません。「そうだ、権力もっている先生に根回しして、あのすごい投手だけ、クラス替えで来てもらおう」。そして、森少年は先生に働きかけ、次の野球大会で優勝してしまうのです。これが、根回しの天才でなくて、何でしょう。到底、そこらの政治家やビジネスパーソンでは敵わない、天性の根回し力なのです。

 

この迷著には、他にも縁故で産経新聞に入社したと思わせるような記述など、森喜朗さんの強みがわかるエピソードが目白押しです。この本、もう一度言いますが、実際に自分で書いたかどうかは置いておいて、自伝です。

 

森喜朗さんの強みである、宴会話芸に、根回し力。これって、古き良き、日本企業社会で必要とされた能力の、最たるものではないでしょうか。それだけでは、人口減少に突入している日本社会では、もはや生き残れないのは明らかでしょう。

 

小池都知事が、森喜朗さんの天才的根回し力に打ち勝つには、徹底的に正論を振りかざし、無謀覚悟で徹底抗戦、つまり、小池新党結成するしかなかったと思います。が、わたしのみるところ、小池都知事は妙に打算的というか、常識的なところがある。だから、巨大与党・自民党と決別できない。そして、小池派区議会議員は「自民党に戻りたい」と自民党都連に泣きついているというニュースもありました。

 

小泉純一郎氏のように、常識はずれの正面突破じゃないと、根回しの鬼、森喜朗さんには到底勝てない。やはり、小池劇場の閉幕は想像以上に早かったと言わざるを得ないのです。