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政治記者Xの備忘録

官邸、自民党、財務省などの記者クラブを経験。マスコミで書けないネタを書いていきます。

「電通」をテレビが報じられない本当の理由

政治記者Xです。

真実は報道されないことのなかにある。

 

大手メディアで掲載できない内容を書くというのが、このブログの趣旨。なので、五輪招致の不透明な支出で盛り上がっている、電通のことを書かないわけにはいかないでしょう。

 

「テレビの支配者」と言われる電通。けれど、テレビ局に対して何をしているのかは、ほとんど知られていない。

 

まず「電通がテレビの支配者」というのは、正しいのか。答えは「イエス」。テレビ局にとっては、大スポンサーよりも遥かに怖い存在なのだ。

 

では、なぜ、電通は「テレビの支配者」なのか。トヨタパナソニックのような、大スポンサーが恐れられるのは、わかりやすい。だが、電通自体がテレビ広告を出稿しているわけではない。

 

電通がテレビの支配者」という構図を理解するには、テレビ広告業界の仕組みを理解する必要があります。

 

電通には、大手広告主を担当する、営業マンがいます。新たな広告キャンペーンを展開するとき、大手広告主の広告部の社員が電通の営業マンを呼びつけ、新商品のターゲットや広告で目指したい方向性を、大雑把に示します。そして、電通の営業マンは者に持ち帰って、広告主向けの広告プランを策定。で、実際の広告キャンペーンがスタートするわけです。

 

大概の大手広告主は、広告費の使い方をそれほど細かく指示しません。電通の営業マンの提案そのままということが、ほとんど。なので、電通の現場の営業マンの采配次第で、各テレビ局の広告収入が大きく左右されることになるわけです。

 

電通のテレビ広告取り扱いのシェアは、6割以上。トヨタパナソニック、ドコモ、ソフトバンクなどなど、名だたる大スポンサーの広告額を合わせた額よりも、遥かに大きい。なので、大スポンサーの逆鱗に触れるよりも、電通を怒らせる方がテレビ局にとっては怖い。

 

とはいえ、電通がテレビを支配できているのは、単にテレビ広告費の取り扱いが高いだけではありません。テレビ広告の慣習のひとつに、「買い切り」というものがあります。これも、電通の支配力を高める理由のひとつ。

 

「買い切り」というのは、文字どおり、あるテレビ番組の広告枠を広告会社が買い切ること。テレビ広告枠を買い切るのは電通なので、仮に広告枠が全く売れなかったとしても、テレビ局には広告収入が入る。損をかぶるのは、電通になるわけです。

 

「買い切り」で最も有名な例は、かつての「ニュースステーション」でしょう。今では当たり前の平日の民放ニュース番組というのは、当時はありえなかった。テレビ局にしても、当時はスポンサーが付きにくかったニュース番組を大々的に始めるのは、かなり勇気がいる。テレビ局が及び腰のなかでも、リスクをとって、「ニュースステーション」の広告枠を買い切って支えたのが電通でした。

 

電通とテレビ局の強固な関係は、こうした実際の広告費というカネのやりとりだけではありません。人間関係も実に強固なものがあります。

 

電通は東京のキー局の全営業部員に、お歳暮を送ります。「管理職だけ」とかではなく、「全営業部員」です。

 

テレビ局の方は、電通の部長クラスが新たに就任した際には、局の看板アナウンサーが出演する「就任お祝いVTR」なんてモノを作って、渡したります。

 

そして電通にはテレビ局社員の、テレビ局には電通社員の、子女の入社がかなり多い。

 

いわば「カネ」と「血」の双方で結ばれた関係になっているわけです。