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政治記者Xの備忘録

官邸、自民党、財務省などの記者クラブを経験。マスコミで書けないネタを書いていきます。

NHK受信料の知られざる使い道

政治記者Xです。

真実は報道されないことのなかにある。

 

さて、NHKが決算を発表しました。以下、時事通信の2016年5月10日の記事より、引用。

NHKが10日発表した2015年度決算(速報値)によると、受信料収入は前年度比2.0%増の6625億円となり、2年連続で過去最高を更新した。(中略)

 一般企業の売上高に当たる事業収入は横ばいの6868億円。純利益に相当する事業収支差金は288億円で、このうち278億円を東京・渋谷の放送センター建て替えのための建設積み立て資産に繰り入れる。

まず受信料の基本的な仕組みが、視聴者には知られていないはず。受信料は役所の予算と同じで、単年度で使い切ることが、絶対の条件となっています。なので、NHK内では年度末になると、予算が余ってしまった際には、予算を使い切るべく、贅沢に使いまくります。例えば、豪華な「特別番組」が放送されることになります。

 

この「単年度使い切り」という仕組みは、実にタチが悪い。というのも、無駄な経費を使わないようにするという「節約の気持ち」が、全く湧いてこないからです。上の記事を見ても、きっちり残さず、使い切っています。

 

もしNHKが無駄な予算の使い方をやめ、大幅に経費が余ったら、どうなるか。当然、「経費が余るくらいなら、受信料下げるべき」という声があがるわけです。NHKとしては、せっかく貰っている受信料を下げるような真似を、わざわざ自分でやる理由はない。なので、年度末になると、必死で使い切ろうとするわけですね。

 

視聴者からはNHKの受信料の使われ方というのは、適切なのかどうか、かなりわかりづらいはずです。特に、取材や番組制作の費用と言われても、本当に必要なものなのかどうか、全くわからないでしょう。

 

で、わたしのような同じマスコミ業界の者から見ると、NHKの経費の使い方は、かなりむちゃくちゃに見えるわけです。「大盤振る舞い」と言ってもいい。

 

例えばカメラマン。カメラマンに支払うギャラは、「1日単位」。1日1時間しか撮影しなくても、10時間撮影しても、ギャラは同額なわけです。カネのない番組製作会社などは、朝から晩まで撮影しまくって、費用を抑えようとします。

 

ところが、NHKは予算をバンバン使える。なので、1日30分くらいの撮影しかしない日も普通にあるといいます。

 

近年では新聞社でも取材の移動に使うハイヤー代は、節約傾向。ま、そもそも取材でハイヤー使うというマスコミ文化も、一般常識から大きくかけ離れたものですが。ですが、NHKは相も変わらず、バンバンハイヤー使いまくりなわけです。

 

NHK職員の年収は平均1200万円。ただ、この数字はトリックに近い。というのも、国会承認を必要とされるNHK予算のなかでは、この金額が限界なので、1200万円に「止めている」に過ぎない。実質的には、もっと多いというのが、同業者の感覚です。

 

例えば、NHKの退職金水準は民放と比しても、かなり高い。聞くところによると、平均6000万程度はもらえるという。あるいは、福利厚生。社内の食堂や社宅など、かなり恵まれている。社食では普通の握り寿し1人前が500円くらいで食べられる。表面的な給与水準に現れる形で支給すると、世の批判を浴びるので、「隠れ給与」のような格好でつかっているわけです。

 

わたしの知人のNHK政治記者は「うちはキャリア官僚に憧れている放送役所ですから、人事制度など、何から何まで、役所の方法に倣っているんですよ」と、自嘲気味にこぼしていました。

 

社会保障費の増大など、消費税増税が不可避なほど、財政が危機的な情勢にあるなかで、本当に強制的に年間5万円近くとられる受信料が必要なのか。マスコミでも議論がされるべきなのですが、こういった話は一切出ない。

 

出ない理由は、単純で民放も新聞社も出版社も、NHKが「役所」であり続ける方が都合がいいから。JRや高速道路や郵便のように民営化されて広告市場に参入されたら、自分たちの売上が減ってしまうので。

 

こうして受信料制度は、今日も続いていくわけです。