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政治記者Xの備忘録

官邸、自民党、財務省などの記者クラブを経験。マスコミで書けないネタを書いていきます。

自民党が公募で失敗し続ける理由

政治記者Xです。

真実は報道されないことのなかにある。

 

さて、自民党参院選候補を公募、さらに誰を立候補させるかネット投票で決めるという「オープンエントリー」なる試みを始めました。世襲議員や官僚、新聞記者出身以外の人々に、政治の門戸を開くという意味では、意義があるだろう。とはいえ、政党の公募、特に自民党は失敗続きだ。

 

「ゲス不倫」の宮崎謙介前議員、未公開株勧誘&未成年男性買春疑惑の武藤貴也議員、地元の自民党支部長と泥沼の中傷合戦に陥っている「小泉チルドレン」の佐藤ゆかり議員、そして杉村太蔵元議員はいすれも公募出身だ。自民党以外でも、元日本維新の会上西小百合議員。そしてお粗末な振る舞いが目立った、かつての「小沢ガールズ」などなど。

 

今回の自民党「オープンエントリー」のファイナリストの面々を見ると、記者として「面白いな」と思う候補もいる。

 

例えば、伊藤洋介氏はバブル期に「シャインズ」というグループを結成、CDデビューを果たし、「サラリーマン芸能人」として、芸能活動を派手に行っていた。かつて週刊文春にドラッグパーティー疑惑を書き立てられたエイベックスの松浦勝人社長とは「親友」と呼ばれるほど、親密な関係にある。

 

別のファイナリスト、石橋明日香氏も、ある業界の有名人だ。リーマンショックの前までは「lovewhiskey」のハンドルネームで投資雑誌などに露出、「カリスマデイトレーダー」として鳴らしていた。サイトではデイトレードの商材を販売している。確か、東京・代々木上原の超高級マンションの一室で、デイトレードを行っていたはずだ。ファイナリストに上がっている名前とは微妙に異なる名前、「石橋明佳」として、「株デイトレ必勝法」(=アフィリエイトは張ってません)なる本も出している。石橋氏の名前で検索をかけてみると、2ちゃんねるの過去ログでは、怪しげな話も取り沙汰されているようだ。「カリスマデイトレーダー」という経歴は、「金持ち優遇」批判が絶えない安倍政権には、野党の攻撃材料のネタにされるかもしれない。

 

さて、いずれも真偽のほどは分からないが、何となく突っ込みどころがありそうというか、「記者魂」を擽られるというか…。「外れない」取材対象のような気がする。下世話な人間的興味に寄り添うことに誇りを持つ、文春や新潮の記者であれば、なおさらだろうとは思う。

 

今回のファイナリストの方々が当てはまるかどうかはわからないが、公募というのは派手な経歴や華やかな容姿を持つ人間にとって、大きく有利に働く。何しろ書類選考、面接、論文審査で選ばれるのだから、当然だろう。この流れ自体は、企業の新卒、中途採用と大して変わらない。

 

問題は、議員の場合、公募で問題のある人物を採用したとしても、組織内部での自浄作用が働かないことにある。

 

ただ企業の場合、採用で人物を見誤って採用したとしても、社内や取引先からの評判、さらに仕事での実績が悪いものであるなら、閑職に置かれることになる。ところが国会議員は、党に属するサラリーマンであると同時に、独立した個人事業主という面も併せ持つ。

 

好例はかつて自民党総裁候補とも言われた、中村喜四郎議員だろう。ゼネコン汚職で有罪判決を受け、刑務所に収監された。自民党も離党した。だが、出所後に立候補し、当選。以来、10年に渡って議席を守り続けている。

 

党は除名処分にはできるが、議員をクビにはできない。除名処分でさえも、決定的な大問題が起きたあとにしか、下されない。つまり、華やかな経歴と弁舌巧みに公募面接を乗り切り、党の看板で当選すれば、あとは次の選挙まで審判の場はないということになる。時間の経過が、その人物の能力と人間性をあぶり出し、それに応じた処遇を与えるという、「時の審判」を受けずに地位を得るのは、公募議員くらいかもしれない。

 

いずれにしても、自民党の話題作りのオープンエントリー。政治記者として、ゆるーく見守っていようと思うのだった。