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政治記者Xの備忘録

官邸、自民党、財務省などの記者クラブを経験。マスコミで書けないネタを書いていきます。

SMAP解散報道と政治報道の相似形

政治記者Xです。

真実は報道されないことのなかにある。

 

さて、芸能ニュースは門外漢なのですが、SMAP解散報道をみていて、政治報道と似ているところがあるものだと思った。

 

似ているところは、ズバリ、利害関係者たちのマスコミ操作の方法だ。今回のSMAP解散報道の経緯をみてみると、日刊スポーツ、スポーツニッポンに「SMAP解散へ」という記事が出て、その2日後に週刊新潮が詳細に伝えている。ただ、情報を記事にしようとしたのは、週刊新潮だろう。

 

週刊新潮の記事は、SMAP解散を主導したと言われている、飯島チーフマネージャーの立場に沿って、描かれている。一方、スポーツ紙はジャニーズ事務所の側に立った情報のように見える。

 

ここからは報道メディアに関わっている者としての推測。飯島マネージャーか、その周辺の人物が週刊新潮に解散のネタを持ち込んだ。なぜ週刊新潮かといえば、新潮のライバルである週刊文春で、メリー喜多川副社長のインタビューが掲載されたから。飯島マネージャーサイドとしては、「文春はメリー喜多川副社長につながっているので、自分たちの意を汲んだ記事にしてもらいにくい」と想像する。で、競合の新潮に持ち込む。「独立はするが、解散させるというのは事務所の横暴」と印象付けたかったのだろう。

 

加えて、新潮社はジャニーズ事務所のタレントを使った写真集などは出していない。なので、ジャニーズ事務所に遠慮する必要はない。

 

新聞記事の入稿締め切りは前日の深夜25時半ごろ。木曜発売の週刊新潮は火曜夜。新潮が取材を進めていることを、月曜あたりにジャニーズ事務所側が知り、急遽、懇意にしているスポーツ紙2紙に書かせたはずだ。書かせる内容は「SMAP解散」。SMAPに解散の可能性を現実に突きつけ、追い込むためと見る。

 

スポーツ紙の報道に追随するのが、ワイドショー。「SMAP解散不可避」という報道の流れが一気にできてしまう。「解散」が既成事実化してしまうのだ。「独立はしたいが、解散は避けたい」という独立組にとっては、現実の解散を避けるために、事務所に詫びを入れざるを得なくなってしまう。

 

詫びを入れる流れが出来てからは、ジャニーズ事務所側はさらにスポーツ紙に情報を流したようだ。「木村拓哉が独立に賛同しなかったのは家族のため、恩義に報いるため」、「キムタクが独立組と事務所の仲介役を買って出ている」。いずれもジャニーズ事務所側に立った「キムタクはいいやつ」との趣旨の記事だ。

 

生き馬の目を抜く芸能界。百戦錬磨のメリー喜多川社長だけに、SMAP独立組を徹底的に追い込んで、詫びを入れさせ、自分に主導権を取り返して残留させるという流れは、シナリオ通りだったのだと思う。そのシナリオは日刊スポーツやスポニチに情報を流した時点で出来上がっていたはずだ。事務所経営者として、稼ぎ頭をわざわざ追い出したりはしないだろう。かなりの喧嘩上手とお見受けする。

 

さて、何が政治報道と似ているかというと、各媒体にそれぞれの思惑を持った情報源がいるということ。そして、その情報源と記者は「癒着」と言われても仕方のない、相互依存関係にあるということだ。

 

ただ政治報道と異なるなと思ったのは、芸能ニュースの方が情報源(=芸能事務所)との癒着ぶりが激しいなということ。

 

政治報道の場合、各新聞社のなかに利害の異なる情報源に結びついた記者がいる。そして記者同士が牽制し合う。結果として、ひとつの社としてみた場合、どちらかの情報源に極端に傾くことは、実はそれほど多くない(産経新聞のように、社是として安倍内閣応援団を担おうとしているような場合は別として)。

 

ところが、芸能マスコミは記者同士の牽制関係はないようなので、一気に流れができる。もちろん社として、どちらについた方が今後の取材で得かという計算もあるだろう。

 

そしてもうひとつ違うと思ったのは、芸能界、政界よりも怖そうだなということ。ここまでジャニーズ事務所側への異論が全く出てこないという報道の状況は、メディア関係者としてみても、結構異様なのだ。